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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

六月三十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月三十日  第五十七信

きょうもホクホクデェイと申すわけです。この手紙は特別にいろいろと豊富で、くりかえしくりかえしよみます。「食べても食べてもまだタベタイ」という子供の唄のようにね。

風邪のこと、心配していただいてありがとう。やっと大体ぬけたようです。もう喉は痛くなく、すこし洟が出るぐらいですから。そうね、冷水マサツしましょうか。私は皮膚が或程度刺戟されるのは快く感じて、今でも入浴のときは健康ブラシをつかってコスルのですが。でも、いかにも冬さむそうね。冬つづけなければ意味ないのでしょう? ウフ。

風邪について一つ伺おうと思っていたのは、窓をあけて眠ること。あれはどういうものでしょう。二階の東側一間は、あけはなして不用心でない構造なのです、外部からも見えないし。ですからもしかしたらあけはなして眠ることはじめてもいいと思っているのですが、どういう場合にでも果していいのかしら。日本では例えばキャムプだって湿気が多いからそう大してよくはないそうですが、夜中あけはなして大丈夫なのかしら。直接体に当らず流通しないようにしておけばいいのでしょうか。