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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
そして、本当の勉強をユリなどにもしろということをきびしく仰云る、その意味も実にわかります。もし私に私という或人物があって(誰しもあるのだから、よかれあしかれ)それがどう育つかということ、どう育つ力をもっているかということが現実に示されるには、するだけの勉強して行かなければ、仕事もどこまで出来る可能をひそめているか、つまりは分らないようなものです。いろいろと深い感想に充たされます。実に年々にいろいろの夏を経験いたします。体に注意して日々に勤勉であろうと改めて思います。又申しますが、盲腸切って何とよかったでしょうね。この頃の大汗、きゅうくつきわまる長時間、それでも夜早くねむると、翌日は大体大丈夫です。先週はひどく気をもんでずっと毎日そちら、日比谷、そちら、とやっていたので、幾分こたえて足が苦しくなったりしましたが、それでも先の苦しさなどとは比較にならず。咲枝はもうどうせ防空演習になってしまいましたから、あせらずに自然の陣痛のはじまるのを待つということになりました。九日が予定日でしたから、今日でもう十日のびたわけです。一昨日あたり大分妙のようでしたが、平穏にすぎてしまいました。