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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
と。ごく些細なような、しかも何と面白いことでしょうね。
それから漱石はナチュラリスムとロマンチシスムを、歴史の時期によって対生にかわり番こに傾くのがノーマルだと思うと云っているのも面白いと思います。いかにも英文学ね、英国の議会のような(今度保守党、今度自由党)式。そして「或場合にはこの二つの傾向が平衡を示す」などと云っている。これも面白い。対生とか平衡とか当時としてはフレッシュな用語をつかいつつ、この時代には科学的分析というものは全くされていないのですね。例えばロマンティシズムの社会的原因など。いかにも漱石らしい。互に交り平衡を得るなどというところ。彼の境遇とてらして。
あまりのどが乾いたので何かのみに食堂という方へ行ったら、まるで迷路のようで、昔小さかったときこわい思いをして通った婦人室の廊下の方の、まだ先の、そのまだ先の、太郎の話のようにくねくねとしたところの先にひどいのがあって、婦人席と書いた看板の絵。二等辺三角形の下に縦線黒ヌリが立っているのには失笑を催しました。
『青鞜』の第一号にあるらいてうの文章というものは実におどろくべきものですね。