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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

「ユリ、元気そう」と云って下すってうれしいと思います。

おかげさまで、よ。尤も深い豊富な内容での。様々の深い感想をもって、益※(二の字点、1-2-22)それを深められながらユリが元気で今日いるということには、ひとかたならないものがあるわけですから。この間或座談会(映画の)でとった写真が『読売』に出て、小さいちょこんとしたのながら扇を胸のところにもって、いかにも心持よさそうにしていると、わざわざアミノさんが、あの写真ないかときいて来ました。寿江子も見たと見え、そのこと云ってよこしました。おかげさまで、とそれをお目にかけとうございます。

この頃よく思います。私は作家であって何と仕合わせしたろうと。そのことを、全く妻としての生活から屡※(二の字点、1-2-22)思います。私たちがそういうものであるために、生活のいろいろな面を、何と手のうちからこぼさずに生きて行けることでしょう。それによって生活をうるおされ、やさしくされ、新鮮にされ、きのうは更にきょうであり、そしてこの今であるというようなものを、のがさないで生きて行かれることでしょう、ね。

詩人たちの秀抜な感覚や手法を、そのまま私たちの生活に生かして、溢れる詩のなかにひたれるのはうれしいことです。