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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
友情なんかを架空的なロマンティシスムでいうのは誤っています。所謂ロマンティシスムでもてる愛などというものは、この現実に只の一つもあるものではないのですものね。
栗林氏のところへ電話したらまだ帰宅せず。様子分りません。八月は外に用事なしと云っていたところ何が突発したのでしょうね。所謂事件をたのまれたという程度でない直接さです。今夜はほっとして(咲枝かえったので)大早寝をいたします。この万年筆、割合書きなれましたね、そうお思いになるでしょう? 明後日おめにかかります、それまで。
八月二十六日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月二十六日 第八十二信
こういう紙は林町でなければありませんですね。速達を夕刻。日比谷からかえって来てお湯をあびたところへ頂きました。栗林氏は、きょう日比谷へ見えませんでしたから、帰途宅へまわりおことづけをして来たところでしたから、八時すぎ電話で、速達の用向きを改めて追加してつたえておきました。
金曜日の用向き、皆その日に果し、伊勢氏にもつたえました。医典も速達いたしました。芝の方には、今朝面会いたし快諾を得ました。