轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
七月から八月へと、心持のそういう心持よい重みが、ずっと加わりました。感覚の面でも具体的だし。現実のリアルな内容というものが作用して来る来かたの微妙さ。その微妙さを考えると、感じ深めてゆくと、次善的なあらゆることが惜しく思われて来ます。実にね。これまで、私はこの次善的なあらゆることが惜しい心持を、その心持なりに自分に許して、というか承認するというか、そうではなく、とにかく次善的なものを可能なだけ積極の面へ転出しようとする、そういう面からだけ自分の心を見はっていました。そのことで、負けていたと思われます。こんな云いかたでは、よく呑みこめなさらないかしら。負けまいとして負けていたという工合だったのね。肩に力いれてね。あらゆる感情のうちに安心して自分を放してやっていなかったと感じます。
二ヵ月ばかりえらく暑かったりむくんだりしたおかげで、そういう方面のリアリスティックな充実から、自分の気持のリアリティも安心してつかめて来たというのは面白いところであると思います。少しずつ或ところへ出たとき初めて、これまでいたところが全体として見えて来る、そのことも面白い。