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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
おみやさんがいて助かりますが、御飯たいて雨戸あけて、はくだけですから。今市場へ出かけて晩の野菜を買って来てすっかり仕度しておいて仕事にとりかかるというわけ。私は今、それはそれは玉葱くさくて、おばけのようよ。くたびれて、パンにバタつけて、生の玉葱うすく切ってのっけてたべましたから。ロシアの農夫は、黒パンのかたまりを片手にもち、片手に玉ねぎをもち、玉葱をかじりつつ黒パンをたべます。
隆ちゃんからエハガキが来ました。いそがしいと見え例の通りの文章です。雑誌は貰って、どっさりあるから、いらないと云って来ています。前にきいてやったのは、本をよむ時間があるかないかだったが、そのことはやっぱりはっきり分りません。この様子ではなかなか暇もないのでしょうね。
この間『戦う支那』Utley の本、三越へ注文したらことわって来ました。為替のために。
きのうの雨でいくらか電気が安心になりましたね。電気時計が一時間に三分おくれるだけに恢復したそうです。
私はやっとこの頃いろいろ経験して、これからは『中央公論』『改造』『文芸』『新潮』ぐらい折々あつめては製本しておくことにしました。