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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

文学に短篇の新しい世界を拓いた。けれども、これから先の短篇はそういうものからも又おのずから歩み出しているわけですから。生活の物音の複雑さがね。複雑怪奇という新造語の流行される今日ですから。

長篇小説とワイワイ云っていたかと思うと、曰ク「短篇時代来る!」これは冗談でない原因で、紙のこともあるわけです。しかし日本の作家は何というのでしょうね。長篇小説が云わば一つもろくなの出ないうちに、もうそういうわけです。つまりロマンなど生むに耐えない文化性におかれているのです。その点では、こちこち勉強しかないわけです。しかしコチコチ勉強だけでは実際上困る(Oh! 又早ね、早おき※(疑問符感嘆符、1-8-77))。勿論冗談ですが。作家が益※(二の字点、1-2-22)世俗的生活面の単純化(質的のね)の正当性を知らなければ、本当には成長的に生きてゆけなくなって来ています。衣類七割八分、食費四割以上、その他あがっているのだから。面白いことね。文学のジェネレーションのことを考えると実に面白いことね。来月からお米全国七分搗です。太郎の御飯なみです。太郎は体の条件でそれと普通のとまぜていたが。