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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
そういう形で寿江子と家が持てれば相当の恒久性があるわけです。私が旅行したりする間も安心だし。出来るとうれしいと思います。家なんて妙なものね、もしこの話が実現すれば、空想として描いていたような好条件の形が出現するわけです。前かけのまま何でもなく一寸出られるような周囲でなくては一人ではやれるものでない、面倒くさくて。ホクホクしてもう手どりにでもしたようによろこぶのも早計ですから、私ももう笑われないうちひかえましょう。もうたったひとこと、本当に出来たらいいとお思いになるでしょう?
一昨日だったか稲ちゃんと栄さんとが来て、二月十三日には本当に私の誕生日やるかと念を押し、のばしたなんて云っちゃ駄目ですよ、とニヤニヤしながら云いました。何をしてくれるのでしょう。二十三日にしようかと思いましたが、体がしゃんとしないからのばしたのですが。たのしみになりました。これぞというもくろみであの人たちが何かしてくれるのは初めてです。私はこの調子から推してあなたからは相当のものをねだってもいいらしいと思われますがいかがでしょう。何をねだらして下さるでしょう。余りゆっくりではないことよ。