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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

出来ればそれの内で納めたいところもあるわけですから。

今年は十七日の顔ぶれもいくらか変化しました。栄さんたちにも相談しましたが、S夫妻は又別にします。それについて、この間御相談しようと思っていてつい忘れてしまって。やはりその方がはたも自然ですしね。いつも困った気持になります。

あなたにお祝い何さしあげましょう。吉例にしたがって限定版の詩集一冊。それはもうきまっていますけれど。今年のは表紙が非常に軟かで、つよい鞣革で玉虫色の象嵌があります。装幀も年々に含蓄を加えます。

それからリアリスティックなものとして、岩波の『哲学年表』、それは今お忙しいがきっと面白くお思いになるでしょう。折々ひっくりかえしてみて。それをお送りいたします。

あなたのお誕生日が祭日なのは面白いけれども、私としては本当に不便ね。しみじみそう思います。仕方がないから松たけでも入れて、すきやきを一同でたべましょう。ああそれから、お酒なしよ。

きょうの様子だと晴天でしょうね。あなたのところへは二日もおくれて菊の花がゆくでしょう。日どりが本年は特に重っているのでそうなってしまいます。

ああ、私はさっさと髪を洗って、詩集を伏せて、しまって、例の追いつけを開始しなくては。