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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
何とこういう人たちの考えかたは可笑しいでしょう。おひなさまのときの染わけかまぼこのようね、近代日本の日本人が、近代日本の日本人であり得ないということはない、それを一遍「それはないことないこと」にしてから、妙に分裂させてしかつめらしく云い出す、何を「ないことないこと」にしているかということについては自分さえも自分に向って沈黙していて。その勿体ぶりかたで謂わば女子供をたぶらかしている。
そちらへ行くのに、ひどい風当りの中を歩かず池袋の方から横通りぬけて行けますから大丈夫です。でも本年の冬はインフルエンザを今からケイカイされているから私は喉は気をつけます。あなたもどうぞ。うすい塩水でうがいなさいますか? 今していらっしゃる?
『新潮』の写真は茶の間の顔というところもあり、こんな顔で仕事はいたしませんからね。でも茶の間の顔がなかなかいいから御目にかけます。こういう顔の系列であなたのドテラの綿入れをやったり、ジャムがすきでいつしかペロリと「いただいてしまう」藤江対手にフーフーやっているのです。藤江というひとはそういう点ユーモラスです。寿江子ったらいかにもそんな顔しているって云うんだもの。