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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

手袋。古いけれども御辛棒。スフよりましですから。行火のタネがあってよかったこと、どうかしらと思って居ました。謄写のことわかりました。

全く今年の暮は珍しいことね。三人ですから。去年は病院であったし。私としては賑やかなような寂しいような、よ。二十六日には参りますが、気になさらないでいいのです。お正月どうしてお暮しになりますか。よみもの何かあるのでしょうか。何年か前のお正月思い出します。「お正月どうしていらしたの」と私がきいたら「ねころがって雑誌みていたよ」と云っていらしたわね、万惣の次の正月のこと。今年はどうしてお暮しになるの? やはりねころがって? 雑誌みて? 私は、ひそかにこの雑誌みて、という表現にふくまれているものを感じて居ります、あて推量かしら。

たかちゃん、きょうは障子をはっていてくれます。藤江が一月の六日にかえります。十五日ぐらい休んで又来ることにしてあります。たかちゃんも、洋裁の稽古と台所とを一度にはじめては馴れないうちくたびれたりするといけないし、寒中は藤江をおいて三月にでもなって、たかちゃんがその気なら藤江なしで二人でやります。藤江に 40.00 はらうとすれば、十分たかちゃんの勉強費は出るのですから。