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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
でも私は、自分が気を立てて仕事しているとき、一々人の出入りに下りて行ったり何や彼やとても気がうるさいようなら藤江おいておくかもしれず。中央公論社で書き下しの長篇を云って来て居ります。それを来年の春から夏への仕事にします。そのためには稲ちゃんのようによそへ行くより、うちの条件をよくしておいてやる方が私として可能ですから、その点も考えているので。まだこまかにプランは立てられませんが。この長篇のことはうれしいわ。力一杯出しきってやりたくていたところだから。短篇はやはり短篇で。前かきかけていたのとはちがう題材でどちらかというと「杉垣」の種類のものです。この間うち云っていた姉弟の小説、ああいうものかいてしまってから、専念とりかかるわけです。たかちゃんは半年ぐらいの予定です。そのくらいあれば洋裁を専門家としてひとのもやれるようになるの。光井にそういう人がいません。ですから自分の将来の家庭のためにも便利ですし、実科しか出ていないというようなひけめもプラスになるものがあって、私たちのしてやれることとしては実質的でしょう。明後日あたり遊覧バスで一めぐりしたら、あとはふつうの生活の間にちょいちょいあっちこっち私と出て、そして黒子もとらないのなら一月の学期から通いはじめればよいと思います。