轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
私が寿江子の音楽的創造性について一つの疑問を抱いているのは、寿江子の頭の機械性というとすこし表現がかちすぎるが、例えばドイツ語の文法を文法だけ勉強出来たり、代数の式をいくらでもうつして退屈しなかったり、そういうところがあること、及び、外面的な勝気のあることです。小さく速い頭のよさがあるところ、目さきを(通俗がかって)よく見るところ、それらは大きい芸術の素質とは反対のものです。外面的な勝気などというものは、もし本当に音楽がわかり、愛せばやがて消える消えざるを得ないものですが。
心ひそかな私の空想を許せば、自分たち姉妹が、やはり芸術的生涯を扶け合って生きてゆくことが出来たら、どんなにかうれしかろうということです。寿江子がこの頃音楽にもとめている健全性というのは、私は興味をもって見て居ります。彼女が我知らず求めている生きている音楽、音楽通のデガダンスでけがされていない音楽というものは、どうしたって、それを生める社会的・個人的条件があるので、まことに遅々とながら、そういう生活の欲求と音楽的欲求とが歩調を合わせて来かかっているところがなかなか面白い。そして、その底には真劒なる課題が横わっているのですから。