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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
きょうは節分です。立春。八百屋や何かで柊の枝を束ねたついなの箒(?)を売っています、はじめてこんなものを見た、撒く豆というのも大きいのね、上落合に暮していた節分の夜、風呂の中で浅草寺の豆まきのラジオをきいて、そのこと手紙にかいたのを思い出しました。うちでは大笑いしました。寿江子が卯の年で年女だからお前に豆をまかせてやってもいいけれど、家じゃ、鬼はーそと! と云ったら家じゅう年女までいそいで外へ馳け出さなくちゃならないから大変だ、と云って。どこかのお寺で鐘をついているのが仄かにきこえます、やっぱり節分のためかしら。島田なんかでおやりになるの?
ああ、そういえば夕刊にこういう話が出ていました。アメリカから日本語勉強に来た学生曰ク(アメリカ人よ)「日本語はむずかしいですね、てるてる坊主の歌の中に、てるてる坊主、てる坊主、あした天気になーれ、とあります、なーれというのは何でしょうか。教科書にないです」成程と思ってね。なーれは、なれの調子だとはすぐわからないのだと、笑いつつ同情してしまった、すべての外国語の困難性について。
十三日のために。私が好きなだけとることの出来る二つのもののほかに、どうぞお考え下さい。