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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
眉宇の間晴朗ならず、というのは、人相上大していいことではないのよ、精悍の気が漲るというのも「眉宇の間」ですもの。
折角女にしては眉と眉とがはなれてついていて、すてたものでもないのにたてしぼがついては価が下ってしまうことね。おでこの立しぼの犠牲においてこういう手紙もかくというと、まるであなたのためにだけ書くようですまないことです。
六月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
六月十九日
十四日のお手紙ありがとう。あれは十六日につき八日朝というのも頂いて居ります。私の方からのが五日以内につくとはうれしいことです。先ず用事を。マホービンのこと承知いたしました。どの程度に役立つか甚だ心許ない次第ですが、おっしゃる通りにして届けます。森長さんのところへ電話したら、丁度そちらへ昨日行ったということで、いろいろおわかりになりましたでしょう? 倉庫の鍵がどうやらこうやらしたのだって。笑ってしまった。寿江子もよくこういう智慧を出しますが、普遍性のあるものなのね。そのときの調子で、この前音沙汰なしをどうしたかと思っていたことも、あれでいいと分りましたから、どうぞそのおつもりで。