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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
それでもよほど助かるでしょうからいいけれども。防寒の為にタオルでも頭におかけになったらと云うのはフワリと上からただ掛けておくだけのことで、顔までかぶると云うわけでもなかったのです。年始に目白の先生が来た時その話をしたら、寒すぎて頭がジンとして苦しいよりはその方がよかろうと云うことでした。芝居の道行で、女や男が頭に手拭を吹流しにかけて行きつ戻りつするでしょう、あの調子よ。ユタンポでその必要もないかも知れないけれど。
島田の生活のことは、全く色々大変だろうと思います。新設の工場が不向きだと云うことも確ですし。お母さんは、でも、体を丈夫に気を楽にもつと云うことを、心掛けて暮すと云っていらっしゃるから助るけれども。トラックを二台売ったりすれば、今のことだから、一寸まとまった金が入り、それを土台に何とか地道な方法が立てば良いと思います。
色々な処で、色々な形で堅気な人間は、生活の方法に就て苦心をして居りますね。あなたから折にふれ慰めたり、励したりして戴くことは、あっちのみんなも心強いことでしょう。本はこちらでも心がけましょう。『インディラへの手紙』は私達の物ではないのでしょう?「笛師の群」