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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
01 一九三四年(昭和九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,990 字 · 30 页
[自注15]私の最近の評論感想集――『冬を越す蕾』。
[自注16]いね子――佐多稲子。
[自注17]松田さん――松田解子。
[自注18]原泉夫妻――中野重治と原泉子。
[自注19]トムさん――村山知義。
[自注20]山田さんの奥さん――山田清三郎の妻。
[自注21]河野さくらさん――鹿地亘の妻だった人。
十二月二十四日〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 上落合より(封書)〕
第三信 十二月二十四日。午後。(月曜日)
今日は。いかがですか。お体の工合、本の工合、その他いかがですか。きょうは、曇天ではあるが気候は暖かで、私は毛糸のむくむくした下へ着るものは我知らずぬいでいるくらいです。今年はこれから一月一杯オーバーなしですごせる程の暖い正月だとあったけれども、どうかしら。そちらはこの暖かさがどの位おわかりになるのでしょうね。
十八日には思っていたよりずっと早くお手紙がついたので大変うれしゅうございました。その晩例によっておそくまで仕事をしていて、十八日の朝おきて、下の長火鉢のよこへ降りて行ったら、いろんな手紙、古本屋の引札や温泉宿の広告や、そんなものの間に、さも何でもなさそうに挾んで置かれてあった。