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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

01 一九三四年(昭和九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,990 字 · 30 页

青空文庫

あなたの御存じない人)は、そこでモチアミをあてました。

神田では三省堂を出てから夜店の古本を見て十銭でエジソン伝など掘出し、あすこの不二家へよってコーヒーとお菓子をたべ、バスで高田の馬場までかえりました。おなかをすかして、とろろで御飯をたべ、それからお風呂に入って、二階へ上ったという順序です。林町の父が私のお風呂好きはいたく評価してくれて、それはそれはたっぷりいいのをくれました。フロはあるし、こせこせした心配はないし、その上、この土曜日から小学校は正月休みでしずかだし、仕事は面白いし、私もやはり些の懸念もない有様です。

小学校について、この前の手紙には大してやかましさが苦にならぬとかきましたが、その後、あなたにアンポンと云われそうなことになったのです。やっぱり喧しいの。初めはなぜやかましくなかったかと云うと、それは運動場をコンクリート? か何かで修理するために子供らは皆教室につまっていたのです。運動場ができたら、まるで雀の巣が百千あるようです。しかし、そのワヤワヤワヤはまだいいので、こまるのは体操。ここの体操の先生はいやにリズミカルで、机に向っていると勢よく、「さーア手をあげて! ハッハッハッハッ」