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ごくちゅうつうしん

獄中通信

戸坂 潤

「人民評論」1945(昭和20)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,798 字 · 8 页

青空文庫

松の内もすぎたが、年頭に際し、お父さんの九月来の勉強の報告をしておこう。専ら仏教の勉強だ。仏教関係の書物二十五冊以上、内、国訳一切経十四冊(阿含経10、四分律4)、諦観の「天台四教儀」(織田の「和解」による。なお蒙潤の「集註」あり)などもあり渡辺楳雄「小乗仏教」、ピ・ラクシュミ・ナラス「仏教の要諦」(立花訳)、ポール・ケーラス「仏陀の福音」(八幡訳)などは好著。旧新約聖書(明治二十五年版)などを通読。総計一万二千頁以上になろう。――さてここでは餅にミカン、黒豆、数の子(一片)、生揚げ、昆布、鱈、白米、煮豆、人参、大根、葱、年越ソバ(十数本)などで大晦日から三ヵ日をすごした。まず無事に歳を取ったというもの。家のお正月は如何。嵐子及び月子の誕生祝は如何。――口頭試問の用意に、お父さんの職業は判っていても業態の説明が出来ぬと閉るから、おバアチャンやお母さんによく聴いておくこと。一月の面会、引越し後に無駄足をしてもいいだけの時間の余裕を見た方がよかろう。――東亜文化協会から通信あり成功をよろこんでいる。

戸坂嵐子殿(二月九日朝)

吉報*(嵐子及び母さん)見た。