轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たまとりものがたり
玉取物語
久生 十蘭
「別冊文藝春秋 第二十四号小説二十人集」1951(昭和26)年10月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,495 字 · 19 页
かくて刀をとりはじむ。
静海、刀をおろし、陰茎の脇、ふぐりの右の方を五六寸も截割りたりとか。おのれにはただ冷水を注ぐかと思われぬ。この時、午の刻の鐘きこえけり。さて、今は切りたる中を開きて見定むるなるべし。時として身のうちに響くこともありけれど、左のみ痛しとも堪えがたしとも思われず、折々、水注ぎ洗うが冷々と覚えらる。人々、さまざまに計らいて精系を糸にて結びたるときは、命の限りとばかりにて、腹の中の物を差入れらるる心地ぞせられける。ほどなく切捨てたるにや、その心地も直りぬ。
扨、あしき玉を取り出すとて、左右は纒いたる筋を切るに、二度三度は響きつれど、なにばかりの事もなし。明暮れ心にかかり、片時も忘れざりし根を断ち、玉をぬき出したるなれば、たとえんにものなく、清々しくおぼえける。今は更に、千歳の命、継ぎたりと心の落居たるにや、疵口を縫いつくろう折、仲々、堪えがたくて人々に笑われたりき。このとき全く日暮れたり。
とり出したる玉を見るに、少し裏平みて、長きところ五寸余り、幅は四寸ばかりにて、ところどころ高低ありて形を失い、裁ち割りて見るに、玉の性変じていたく色も乱れ、いまや腐れ出ずべきさまなり。