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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

キサマを見込んで一任するが、立派にやってみい。オレは東京へひきあげるから、後はまかせる。しかしキサマ、すごい美形をつれてきたそうだな」

「ハア。あれなる美形は敵の間者で」

「間者?」

「シッ。声が高い。アタクシの眼力に狂いはありません。敵の策にのると見せて、当地へつれて参りましたが、間者というものは、これを見破っている限り、これぐらい調法な通信機関はありませんな。こちらで、こう敵方へ知らせたいと思うことを、ちゃんと敵方へ報告してくれます」

「ミイラとりがミイラになるなよ。キサマの相には、女に甘いところがある。見るに堪えないところがあるぞ」

「ハハッ。相すみません。充分自戒しておりますから、御安心のほどを」

そこで石川長範は愛妾とゴリラをつれて帰京してしまった。

サルトルはツル子への約束、正宗菊松を助けてやりたいと思うから、マニ教の神殿へ偵察におもむいた。

石川組の社長の片腕であるから、神様も粗略には扱わない。内務大臣が自室へ招じ入れて、

「ナニ、正宗のことについて、話があるとな」

「ハッ。実は社長に後事を託されまして、命によって伺いましたが、天草商事も左前の様子で、身代金がととのわず、社長も間に立って困却しております」