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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
正宗菊松は戦争中は号令をかけ、生徒に仕事を督励したものだが、奴らは尻をたたかれても滑りだしよく動こうとはしなかったものだ。まるで別の人間が生れてきたのだろうか。
そこへ三十二三の芸術家めいた人物が、蒼ざめた顔に毛髪をたらして、やってきた。
「フツカヨイでね」
吐く息が苦しそうだ。フツカヨイで、目がすわっている。半平は男と握手をして、
「こちら正宗クン。こちらがカメラマンの間宮坊介クン。ライカを胸に忍ばせて、これが大事の役なんだ。だけど、旅行中は、正宗クンの秘書ですから、わかったね」
半平は年長の坊介の背中をさするように叩いた。親父が子供をあやすようにアベコベであるが、板についている。フツカヨイの坊介が女の子から水をもらってガブ/\呑んでいるうちに、半平は朱筆を握り、原稿用紙に大きな字をかきなぐる。
「当商事常務取締役正宗菊松氏につき問い合せの電話ありたる時は、当人は目下秘書三名をつれて旅行中と答えて下さい」
正宗菊松という名前のところへ二重マルをつけた。署名して印を捺し、交換台の上へはりつけた。
「会社を一足でたら、外は敵地だと思わなきゃいけないからね。