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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

やりかねませんな」

「なるほど」

一同ギョッと顔色を変えて、口をつぐんでしまう。

ほかに策がないから、お体裁に毎日使者を差向けて、毎日むなしく追い返されてくる。

一週間目に、雲隠才蔵がゲッソリやつれて、蒼ざめて現れた。

さッそく幹部にとりかこまれて、

「オイ、どうした。君、ひとりか」

「どうした、なんて、落付いてちゃ、いけませんよ。みんな取り殺されてしまうじゃないか。いくらハゲ頭ばッかり残ったって、智恵がないッたら、ありゃしない」

「とんでもないことを言うな。毎日使者を差向けているぞ。今日も一人行ってるはずだ」

「チェッ。毎日使者を差向けて、毎日追い返されてりゃ、世話はねえや。一時間のうちに百万円つくってくれよ。すぐ届けなきゃ、三人命の瀬戸際だから」

「百万円でいいのか」

「チェッ。大きなこと、言ってやがら。いくら命の瀬戸際だって、商魂を忘れちゃ実業家じゃないよ。息をひきとる瞬間まで値切ることを忘れないのが商人魂というものだよ。ダテにハゲ頭光らせて、みッともないッたら、ありゃしねえ。大至急、百万円、つくってくれよ」

才蔵に叱りとばされて、ハゲ頭の連中、返す言葉もない。