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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
マニ妙光。マニ妙光」
という祈りの声がひときわ高くなる。才蔵や半平たちも、それに合わせて、祈り声を高くする。
ピュッと何かを切った音がした。
「お立ちッ」
神の使者がバッタリ坐った様子である。祈り声もハタと杜絶えた。正宗菊松は、怖しさに、頭をあげることができなかった。
「お父さん、お父さん」
半平のさゝやきがきこえる。
「もう、いゝよ。こっちへ来て、お坐り」
菊松は怖る怖る頭をあげた。一同は顔をあげて坐っている。衆人環視の中で夢からさめたようである。彼は神の使者に両手をつかんでひきずり出されたので、列をはなれて、部屋の中ほどに妙な方角を向いていた。
「お父さん」
ツル子がツと立って、チリ紙をだして洟をかませた。彼はそれを羞しがる余裕もなかった。ツル子に手をひかれて、自分の席へもどり、敬しく神の使者に一礼した。
廊下をふむ音が鈴の音にまじって湧き起った。ピタリと戸口でとまると、
「ミソギイ」
という女の声がきこえた。護衛の若者がハッと立ち、杉戸の左右に立って、同時にサッと戸をひらく。とたんにパッと白衣に朱の袴のミコが三名、神楽のリズムに合わせるような足どりで、踊りこんだ。