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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「だからさ。オレひとりッてのが、おかしいじゃないか」

「よせやい。テメエひとりでタクサンだい。二人ッて柄じゃねえや。あのジイサン、神殿でネションベンたれて、魂をぬきあげられて帰ってくるに相違ないから、いたわってやんなよ」

誰ひとり才蔵の味方になってくれる者がない。才蔵をのこして、一同は意気たからかにガイセンした。

才蔵は無念でたまらない。深く恨みを結んだ。よろしい、畜生め、どいつも、こいつも、今にギョッと云わせてくれるから、と、湯につかって策戦をねった。何がさて子供の時から目から鼻へぬける男、三国志の地へ出征して、つぶさに実力をみがいてきました。魂をぬきあげられた正宗菊松をあやつって、天草商事をテンヤワンヤにしてくれようと怖しいことを考えた。

その六 怪社長の出現と天草次郎出陣のこと

正宗菊松はマニ教神殿に監禁されて、二日二晩すぎても戻って来ない。三日目に妙な使者が現れた。

「えゝ、始めてでござんす。天草商事の秘書のお方でござんすか」

見たところ二十四五、雲隠才蔵と同じ年恰好であるが、白衣の使者とちがうようだ。最新型の背広に赤ネクタイ、眉目秀麗の青年であるが、なんとなくフテブテしく尋常ならぬ凄みがある。