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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

そして、ほとんど口数がない。

最後に特大の重箱にウナギの蒲焼がワンサとつみ並べて現れる。酒のみがウンザリするような大串。これがゴハンのオカズであった。

「アア、これだ。待っていたよ」

と、半平は大よろこび。三羽ガラスは蒲焼にとびかゝるようにして、飯を食うこと。

長範親分、ことごとく勝手が違って、酒がまずいが、そこは大親分のことで、今日は商用、これが第一の眼目だ。ツキアイに軽く食事をしたためて、

「明朝八時半にここへ迎えの車をよこすから、山を見廻って、箱根で中食としようじゃないか」

「八時半じゃ、おそいな」

天草次郎はこう呟いて腕時計を見ながら、

「ボクらはたいがい七時ごろには仕事にかかる習慣で、朝ボンヤリしているほど一日が面白くなくなることはないな。旅先では、ことにそうだね。早く目がさめるからな。六時には起きて顔を洗うから、七時半前に底倉へつくだろう。自動車はボクらのがありますよ」

「それは好都合だ。オレも朝は早い。五時には起きて、冷水をあびて、それから三十分静坐して精神を統一する。これによって、一日が充実し、平静なんだな。朝寝はいかん。早朝より充実して仕事にかゝるのはビジネスの正道だ。