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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

イケシャア/\と、世間なみの仁義も知らない奴らじゃないか」

ゴリラもサルトルも返事がない。

「お前らも、何か、アプレゲールか。笑わせるな。アプレゲールは喉がつぶれているワケじゃアねえだろう。サルトル。なんとか返事をしたら、どうだ」

「ヘエ」

「ヘエだけか」

「マ、なんですな。一口にアプレゲールと申しましても、人間は色々でざんすな」

「当りまえだ」

「まったく、そうでざんす」

翌朝七時半、タチバナ屋の玄関先へピタリと乗りつけた自動車一台。云わずと知れた天草商事の三人組に才蔵である。才蔵が降りてタチバナ屋の玄関へ駈けこもうとすると、

「オットット。雲さん、こっち」

うしろから大きな声で呼ぶのがある。ふりむくと、路上にサルトルが手招きしている。路のかたえに車が一台、長範とゴリラもちゃんと乗りこんでいる。敵もさるもの。

長範も車を降りて現れて、

「さて、配置をどうしたらよろしいか。天草社長と織田君はオレの車へ。オレが説明の労をとる。サルトルはそっちの車へ。白河君に説明してあげる。熊蔵はそっちの助手台へ小さくちぢんどれ。キサマが前にふさがると何も見えん」配置を換えて出発する。