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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

そこで総裁更迭問題までが起きそうになって来たのである。

政友会に鈴木系と久原系とがあるとすれば、久原系の動き出すのはこの時だ。併し久原房之助は決して総裁更迭運動に乗り出すのではない。氏こそは政友精神たる積極政策の権化であるらしい。と云うのは、六月初旬に鈴木総裁を訪問した氏は、重臣に見放されたからと云って総裁を更迭するのは本末を転倒したもので、寧ろ退嬰消極悉く政友会の党是に反するこの重臣ブロックこそ排撃されるべきだ、という進言をしたのである。更生する必要のあるのは政友会ではなくて重臣ブロックだというのである。――つまり久原氏の新見解によると、政友会に不利な不埒な存在は、今や国維会新官僚から、鈴木総裁の頭上を飛び越えて重臣ブロックへ移行したわけである。ファッショからいじめられていた政友会はいつの間にか自由主義者(?)からいじめられるものにまで進展した、というのが久原氏の発見になるわけである。

政友会の岡崎長老などは「久原君の云うように簡単に行くかどうか」と云って信用していなかったらしいが、処が、機関説排撃を唯一の頼みの綱と思い込んでいる鈴木総裁は、この重臣ブロック排撃論に甚だ重大な意義を認めたらしい。