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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
という点だ。――林陸相は、所謂軍統制・粛軍の武歩を一歩踏み出すに当って、云わば対軍内部への代償として、政府の例の声明書に、特に機関説を不当とする旨の明文を挿入することを強請した程、対外的に国体明徴を強調したのだったが、処がそれどころではなく、この機関説どころでない重大危険が内部的に発生して了ったのだから、その心境は察するに余りあるではないか。
次に政府であるが、国体明徴を声明した政府当局が、該問題に力を入れないということは凡そ不可能なことだ。政府は各省並びに各外地当局へ、この声明の主旨を伝達し、各省をして従来行って来たこの種の運動を報告させた。その報告によると、文部省は各大学・学校長に訓令を発し、学校長会議の席上訓示を怠らず、パンフレットを作成して頒布したそうである。憲法講習会・公民教育講習会・視学講習・実業学校教員夏期講習会・六大都市時局講習会・等を利用して国体明徴教育を行った。
金子堅太郎伯は文部省のこの憲法講習会に於て「帝国憲法制定の精神・欧米各国学者政治家の評論」という講演を学者達(?)の前で行っている。それによると日本の憲法は欽定憲法であるということと国体に基いた憲法だという点とで、世界無比な出来具合だというのである。