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げんだいかがくきょういくろん
現代科学教育論
戸坂 潤
「科学ペン」1937(昭和12)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,100 字 · 18 页
本当の記憶にはだから、理性に対するクーデーターである暗記などとは異って、合理的な根拠が、心理的で且つ論理的な根拠が、ある。夫が歴史的な来歴・科学発達の苦心の跡、によって与えられる。単に之は記憶の合理的な根拠であるばかりではない。推理・予想・及び科学的なファンタジー(所謂オリジナリティーはここに基く)さえの、合理的な根拠だ。吾々が与えられている物理法則がどの程度に確かなものか、どういう異論に出会いつつあるか、つまりどの程度の疑問の余地のあるものか、そういうことを抜きにされたただの教材では、棒暗記の他はなくて、それから何等の想像を産むことも出来ぬ(この想像力は探検の精神に近いだろう。探検も亦一つの科学的精神の発露である。地理や博物や歴史の興味がここに関係している)。
で、物理学なら物理学の現下の諸テーゼが、歴史的にどういう来歴があって今日に至っているか(例えば一体純実験的に出されたものか理論的に導かれたものか)、今日どういう時代的条件におかれているか、そして今後どういう発達の余地を見出しそうか、という知識が物理学の素養の内容になるべきなのだ。この歴史的認識は同時にこの諸テーゼの技術的社会的認識にも直接している。