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いきたにんぎょう
生きた人形
小川 未明
「サンデー毎日 7巻49号」1928(昭和3)年10月28日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,925 字 · 10 页
そして、また体も動かさずにいられませんでした。
「なるほど、この人形は生きている!」といって、いまさらのように感歎する人もあったのです。
「やはり、生きているほうが、見ていても張り合いがあっていいな。死んでいる人形では、つまらない。よく、考えついたものだな。」
こんなことをいって、ほめる男もありました。こういうふうに、昨日までの、ものをいわない人形は、どこへか隠されてしまって、生きている人形の評判は、日にまし高くなりました。
少女は、夜になってから、店が閉まると、自分の宿へ帰りました。いろいろの人が、帰り道に声をかけました。しかし、少女は、心に願いがあったので、気がしまっていましたから、けっして、よけいな言葉などはかわしません。さっさと道を歩いてゆきました。
ある月夜の晩のことです。少女があるいてゆきますと、うしろから自分を呼びとめるものがあります。それは、いつにないやさしい声であったから、ふと立ちどまってふり向きますと、おばあさんでありました。
「おまえさんには、青い色がよく似合うこと。ほんとうに、美しい娘さんだ。しかし生まれはこの町の人でないようだが、どうして、この町へきましたか。