轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いきたにんぎょう
生きた人形
小川 未明
「サンデー毎日 7巻49号」1928(昭和3)年10月28日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,925 字 · 10 页
「一日だって、お母さんのことを思い出さない日とてなかった。」といって、青年は涙を落としました。
少女は、いま、彼をほんとうの兄だと信じて、疑うことができない。一時に、喜びと悲しみとで胸がいっぱいになって、張り裂けるようでありました。
「兄さん! 兄さん! ああ、私は、とうとう兄さんにめぐりあった。お母さん……なぜ死になされたの、お母さん……。」と、兄にすがりついたのでした。そして、もし、今日兄さんにめぐりあわなければ、晩には、あのおばあさんにつれられて、また遠く、どこかへいってしまったであろう……と話しました。
「それは、片目の白髪のおばあさんじゃなかったかい?」と、兄は聞きました。
「片目だったかもしれません。たいへんにしんせつな……。」
すると、かたわらに、いっさいの話を聞いていた主人も、また兄もびっくりして、
「あのおばあさんに、見こまれたら、どうしても逃げられはしないということだ。怖ろしいかどわかしのおばあさんなのだ! 仲間が、幾人あるかもわからない。きっと船着き場の町へ、おまえを売るつもりだったろう。なんにしても、早くこの町から逃げ出さなければいけない。