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せいぞんりゆうとしてのてつがく

生存理由としての哲学

三木 清

――哲学界に与うる書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,586 字 · 4 页

青空文庫

時代は行動を必要とする、あらゆるものが政治的であることを要求している。このときしかし、哲学するということは、およそ人間の生存理由もしくは意義をなし得るであろうか。人間の「レエゾン・デエトル」として、哲学はいかなるものであるべきであろうか。これは現代において、すべての哲学者にとって、最も切実な問題でなければならぬ。哲学が学問としていかなるものであるべきかということも、かようなレエゾン・デエトルとしての哲学の問題に従属し、それとの関連において初めて具体的に答えられ得るはずだ。

しかるにわが国の哲学は今に至るまでかくのごとき問題をあからさまに問題にしたことがない。そしてそれこそ「哲学的精神」の根本的な窮乏を語るものである。なるほど、日本の哲学は、知識としては十年前とは比較にならぬくらい発達した。けれど今日、哲学に従事する者自身ですら誰も、哲学が隆盛だとは信じていないのである。悪いことには、なまじっか哲学的知識が殖えたために、この時代において哲学することそのことが危機にあるのでないかどうか、を真面目に考える者がほとんどいない。

一方ではすべてがルーティヌに従ってなされている。