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おとこぎらい
男ぎらい
豊島 与志雄
「苦楽」1949(昭和24)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,878 字 · 18 页
やきもちをやいてるのか、からかってるのか、どちらとも分らない調子です。姐さんの方でも、弁解するのやらしないのやら分らない、あいまいな調子です。聞いていて、じれったくなります。どちらとも、もっとはっきりしたらよさそうなものなのに。ほかに話すこともないから、そんなことを酒の肴にしてるのでしょうか。私はジンをなめながら、息に薄荷の香りがますます強くなります。
そうして、皆酔って炬燵にごろ寝をしました。
ふと、私は眼を覚しました。胸がむかつき、息苦しくて、叫びました。
「男くさい、男くさい。」
実際に叫んだかどうか分りません、叫んだつもりでした。同時に、飛び起きました。
まったく、男くさかったのです。井上さんが私の方へ寄ってきて、私の方を向いて、鼾まじりの息をしています。その息が、私の頭や顔にかかったに違いありません。温い、なまぐさい、すっぱいような息です。口を少しあけて、煙草のやににそまった黒い歯を出し、その奥の深い喉から、音を立ててくさい息が出て来ます。酒の臭いだけではありません。
「男くさい。」
息をつめて坐り直しました。
「どうしたのよ、寝呆けているわね。