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だんじょこうさいよりかていせいかつへ
男女交際より家庭生活へ
宮本 百合子
「女性日本人」1922(大正11)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,488 字 · 35 页
一番の兄が富豪であるのに、自分が大学の僅かな月給に生活する助手であっても、自分に退けめを感じさせない丈の自立心を持っていると思います。それ故、父が如何程金を積もうとも、娘や息子は、自分の力量相当の働によって生活して行くのを当然であると思う。又、日本の従来の如く、父の没後は長子が戸主となって、事業から交際まで主となって引継ぎをしなければならないのとは異い、幾人か同胞があれば交際、事業などは各自の選択によって行っている場所では、特に長子が多分の遺産を相続する必要がありません。
子の為に生活するのでもなければ、親の為に生活するのでもなく、諸共に人として正しく幸福に生活して行き度いと云うのが彼等の衷心の希いである様に思われるのです。
勿論、これ等のことには、皆他の一面、他の消極があります。或る人は、それ程、暖い友情によって結ばれている夫婦が、何故あれ程頻々と、法廷で離婚訴訟を起すか。何故、金持の後とり娘だと云うと多勢の青年がつき纏うか。どうして、血で血を洗う相続争いが頻出するかと詰問されるでしょう。
確に、それは世上の大半を覆うている事実です。けれども亦、私の書き連ねた一面も、動かすことの出来ない実相です。