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まちのてんし

町の天使

小川 未明

「赤い鳥」1926(大正15)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,100 字 · 9 页

青空文庫

」と、少年は天使にいいました。

小さな、美しい翼を持った天使は、たそがれ方の空を矢のように、速やかに飛んで、ふたたびなつかしい、わが家の見える野原の方へと飛んできました。

「さあ、ここですよ。」といって、天使がおろしてくれたので、ほっとして少年は、目を開きました。

すると、自分のまくらもとには、心配そうな顔つきをした医者と、青い顔をしたお母さんと、妹と、お父さんたちがすわって、自分の顔を見つめていたのでした。

少年は、どうしたことかと思って、不思議でならなかったのです。

それから、数日たちました。少年の病気は、いいほうに向かいました。医者は、眉を開いて笑いました。母親の顔にもはなやかな笑いが浮かびました。

あいかわらず、あらしは、窓の外に吹いて、雪すらおりおり、風にまじって落ちてきました。けれど、そんなに深くは積もりませんでした。そのうちに、少年の病気はまったくよくなって、元気よく学校へ通うことができるようになったのであります。

ある日、少年は、菓子屋の前を通りかかって、天使は、どうしたろうと思って、仰いでみますと、そこにはありませんでした。驚いて友だちに聞いてみますと、いつかの大きなあらしのとき、落ちて壊れてしまったといいました。