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ちょうないのにてんさい

町内の二天才

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一四号」1953(昭和28)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,836 字 · 26 页

青空文庫

一回戦で負けてるのが本当なんですな」

「そんなにみんな強いですかね」

「つまりウチが弱すぎるんでしょうな。ピッチャーがいないんです。こんなのが二年つづけて主戦投手ですからね。左ピッチャーという名ばかりで全然威力がないのですから」

部長はキタンのない意見をのべた。金サンは言葉がなかった。長助を見ると、さすがに苦笑している。金サンはようやく目がさめたのである。にわかに疲労が深かまってしまった。金サンが牛肉屋の二階へ来てみると、誰もいない。女中が掃除をしていた。

「もう、すんだのかい?」

「ええ、二時間足らずですんじゃいました」

「どうだった?」

「床屋の子供が三番棒で負けたそうですよ」

「そうだろうな。天下は広大だ。天元堂はどうしたえ?」

「小僧をひきずって停車場へ行きましたよ。この町へ置いといちゃア物騒だとか何とかブツ/\云いながらね」

金サンは源床の前に立った。本日休業の札がかかげられて、カーテンがおりている。金サンは露地を通って床屋の裏口から声をかけた。源サンがねころんでるのが見えたからである。

「源的。すまねえ。そう睨んじゃいけねえよ。あやまりに来たんだ。まったく、すまねえことをした。