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がひつにいきるごじゅうねん
画筆に生きる五十年
上村 松園
――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,936 字 · 27 页
画を描くには、いつもよほど耳と目を肥やしておかなくてはならないようでございます。若い時は市村水香先生に漢学を、長尾雨山先生に漢詩の講義など聴いて勉強いたしました。時代時代の衣裳の研究に、染色祭の時などいろいろな陳列がありますから見にまいります。打掛、加賀友禅、帷子などが見られます。芝居へも行きますが、他の方のように気楽に楽しんで見られず、いつも肩を張らして見てきます。美しいある瞬間を、スケッチに捉えます。衣裳風俗も覚えてまいります。時には映画も、見にまいります。猛獣の写真、海底の採魚など生態がわかって、面白うございますし、美しい景色の画面と人物は、よい参考になるものでございます。今、流行の衣裳の陳列会も見逃しません。美術クラブ、公会堂、八坂クラブなどで催されますが、忙しい時は、日に三ヵ所も見て回ることがございます。
ずっと見通しますと、今年の最新流行の色はこう、古典味のある流行色はこうと、よくわかります。また、図案の会、陶磁器の会、彫刻の会なども見て置きます。
絵三昧の境地
絵筆を持って五十年、今の私は筆を持たない日とてはありません。何の雑念もなくひたすら画の研究にいそしんでおります。