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いせいのあいだのゆうじょう
異性の間の友情
宮本 百合子
「婦人公論」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,812 字 · 14 页
恋愛というものは、この社会の歴史の現実のなかで、男と女とが相互的ないきさつでおかれている矛盾や対立やについて、客観的にそれを把握した生活態度がきまっていなくても生じると思う。矛盾そのものの発現としてさえ、恋愛はあらわれ得る。けれども、異性の間の友情は、その輪廓のうちに女は女としての、男は男としてのめいめいの恋愛の経緯までをこめたものとして感じられるのだから、その点でも女同士の友情と性質がひとしい。そして、女が女としての自分たちのありようを客観的に見て、そこに働きかけてゆく一定の生活態度をもって、初めて女同士の友情の可能に立つとおり、異性の間の友情も、男と女とが、この現実のなかで置かれている相互の対立の意味、反撥する利害の社会的な意味、それに対して処して行く上での一定の人生態度というものがあって、初めて友情を以て互に認め合う人間交渉が生じて来るのである。別の言葉でいえば、Aという女がBという男に対してとる態度。Bという男がAという女に対してとる態度。その間に人生への態度として共感が生れ、それをCという感情とすれば、それが異性の間の友情と呼ばれるものであろう。