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いせいのあいだのゆうじょう
異性の間の友情
宮本 百合子
「婦人公論」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,812 字 · 14 页
そこにやはりあちらでもそのような視線をもって周囲を眺めている一対の黒く若々しい眼が出会ったとき、単なる知り合い以上の共感が生じる。そして、やがて友情が芽生え、その友情はあらゆる真摯な人間関係がそうであるとおり、互の成長の足どりにつれて幾変転し、試され試し、幾度か脱皮してその人々の人生へもたらされて来るのである。
境遇が同じようだというだけでは、まだ真の友情の生れる条件に欠けているということは、実に意味ふかいことであると思う。境遇に向うその人の一貫した生活態度というものが在って、初めて互の友情の社会的なよりどころが与えられる。境遇が変っても、その変りかたに互の生活態度として納得の行くものがあり得ること、その境遇の変えかたに、相手の生活態度として評価し尊敬し得るもののあること、そこに女同士の友情も立つのである。そういう意味で、友情は生活的である。互の生活の導きぶり、関係させぶりそのものの中で友情の本質がいわば語られるのであって、そういう本来的なものからはずれて、友情のためとか、友情の美しさ云々は成り立たないのであると思う。友情という抽象名辞で描かれてゆくものでなくて、互の間の日々に生きこめてゆかれるものなのである。