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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

「じゃ簡単に云いましょう。いま仙太のポケットから出た五枚の金貨ですがネ、あの金貨には泥がついていたのをご存知ですか」

「……」

「もう一つは、そこに錆びた五寸釘を立てて置きましたが、路面に垂直に、小さい孔が明いていますよ」

刑事たちは、目をパチクリさせて地面に踞むと、その錆びた釘を退けて、太い箸をつっこんだ程の縦穴を覗きこんだ。

「これは?」

「ピストルの弾丸が入っているのですよ。今掘りだしてみましょう」

私は釘の先で、穴をどんどん掘った。すると案の定下からニッケル色の弾丸がコロリと出て来た。

「ほほう、なるほど」刑事は駭きの声を放った。「これは何故だ」

「いいですか、上を向いちゃ、犯人が気付きますよ。下を向いていて下さい。犯人は倉庫の二階の窓から仙太を撃ったのです」

「そりゃ変だ。仙太は背後から撃たれている」

「いいえ、傷はあれでいいのです。仙太のポケットに入っていた金貨は泥がついていたでしょう。仙太の野郎は、あの金貨を皆、この路面から拾ったのです。だから泥がついているんです。金貨は、同じ倉庫の二階から犯人が投げたのです。仙太がそれを拾おうと思って、地面に匍わんばかりに踞んだのです。