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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

戸の端がゴトリと内側へ外れた。それに力を得て、グングン圧すと、苦もなく入口が開いた。――内は真暗だ。

懐中電灯の光が動いた。階下には、大きな古樽がゴロゴロ転がっている。その向うには一斗以上も入りそうなそれも大きな硝子壜が並んでいる。ひどい蜘蛛の巣が到るところに掛っている。埃っぽい上に、なんだか鼻をつくような酸っぱい匂いがする。しかし犯人らしい人影は見えない。

「じゃあ、おれは入って見る」と折井刑事は低声で云った。「山城君はここで番をして居給え」

「うん」

「私もお供しましょう」と申し出た。

「そうか。……だが危いぞ。おれはピストルを持っているけれど……」

「なーに、平気ですよ」

折井刑事と私とは、一歩一歩用心しながら建物の中に入った。樽の間を探してみたが、何も居ない。――刑事は頤をしゃくった。その方角に梯子段が斜めに掛っていた。

(階段をのぼるのだな)

と私は思った。そのとき突然に、刑事の懐中電灯が消えた。

階段を一歩一歩、息を殺し、足音を忍んで上っていった。いまにも何処かの隅から、ピストルが轟然と鳴りひびきそうだった。

そのとき、折井刑事が私の腕をひっぱった。