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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

激しい叫喚と物の壊れる音とがゴッチャになって、階下から響いてきた。出口にいた城山刑事に遮られて、怪漢は逃げ場を失い、そこで三人入乱れての争闘が始まっているのであろう。

しかし私は、懐中電灯を持ったまま、じっと階上の部屋に立ち尽していた。目の前にある何に使うとも知れない化学装置が、ひどく私の心を捉えたのだった。それは奇妙な装置でもあったが、私の興味を惹いたのは、それが奇妙なことよりも、むしろ生々しい感じがしたからだった。室内は荒れ果て、樽は真白な埃にまみれ、天井には大きい蜘蛛の巣が懸っているという古めかしさの中に、その化学装置ばかりは、埃のホの字も附着していなかったからであった。

私は事件の謎が、正しくこの場に隠されていることを感づいた。

「よしッ。この秘密を解かずに置くものかッ」私は腕ぐみをしたまま、石のように、何時までも立ち尽したのだった。

怪しき取引

その次の日の夕方、私は同じ伊勢佐木町で、素晴らしい晩餐を執っていた。前日と違っているところは、連れが一人あることだった。壮平爺さんという頗る風采のあがらぬ老人が、私の客だった。

「ほんに政どん」