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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

こっちへ買い戻さねば親分に済まねえ。売らないというのなら手前は生かしちゃ置けねえと脅しやがる。それがどうも本気らしいので、政どんの昨夜の話もあり、じゃあ一寸相談してくるといってその場は納めたが……」と壮平は顔を慄わせた。

「――じゃあ、売っておやりよ」

「えッ」

「売ってやるが、すこし高いがいいかと云うんだ。五千円なら売るが、一文も引けないと啖呵を切るんだ」

「そいつはどうも」

「云うのが厭なら、私はあの建物を手離さないよ。……そいつは冗談だが、こいつは儲け話なんだ。相手は屹度買うよ。彼奴等はきっと今朝がた、留置場のカンカン寅と連絡をしたのだ。そのとき買っとかなけれア手前たちと縁を切るぞぐらいなことを云って脅したんだよ。カンカン寅から出た話なら、五千円にはきっと買う。やってごらんよ」

壮平爺さんは、私が心を翻さないと見て、諦めて帰りかけた。

「ああ、ちょっと」と私は呼びとめ、「いいかい爺さん。五千円を掴んだら、直ぐ横浜を出発んだ。娘さんも連れて行くんだぜ」

「どうして?」

「もう此上横浜に居たって、面白いことは降って来やしないよ。お前たちは苦しくなる一方だ。いい加減に見切をつけて、横浜をオサラバにするんだ。