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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

仙太の行動に不審を持っていた私は、あの会合の時間も場所も知っていたのだった。とにかく気の毒な仙太だ。

笑止千万なのは、カンカン寅だ。あの古い建物を壮平爺さんの手から買いとったと悦んでいるだろうが、九万円の液体黄金の無くなったことは夢にも知らないのだ。今夜私が搬び入れて置いた中身の酸は、分量こそ同じ二十五壜だが、東京から買った純粋の酸でしかない。カンカン寅の奴、後でそれを分析してみて、一匁の黄金も出てこないときには、どんな顔をすることだろうか。失望と憤怒に燃える彼奴の顔が見えるようだ。……と話をしてくると、壮平老人は、私の言葉を遮った。

「それはいいが、その九万円の黄金液はどう始末したのかい」

「警視庁へ引き渡したよ」

「どうだかネ。九万円じゃないか」いかにも惜しい儲け物だのにという顔をした。

「本当に渡したよ。私は金が欲しいわけでこの仕事をやったんじゃない。目的は銀座の縄張へ切りこんできたカンカン寅の一味に一と泡ふかせたかっただけさ」

「それじゃ警視庁は大悦びだろう」

「うん。――」

大手柄と判ったときの、折井山城の二刑事の嬉しそうな笑顔が再び目の前に見える。