轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とざんはぼうけんなり

登山は冒険なり

河東 碧梧桐

「山 第一卷第三號」梓書房、1934(昭和9)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,375 字 · 9 页

青空文庫

若し其の道が、越中へ抜ける道であるとか、飛騨へ下る岐れであったとしたら、私は本統に、濡れ仏のコチコチな白堊のような聖者となって、二千米突附近の疾駆する雲の脚に蹴散らされていたであろう。そうして、其の聖者を発見した後人が、著替えも食糧も何一つ持たないで登山するなんて、無謀な馬鹿者もあったものだ、と冷笑の一瞥を手向けたであろう。

が、私の暴挙に類した突進は、幸いに頂上への道を誤ってはいなかった。それから二三時間の後、我々一行は室堂の焚火にあたりながら、九死に一生を得たような顔を突き合わせていたのだった。

黒部の主、吉澤庄作君、猫又のダムが出来た当時、ダムの堰きとめる水量は、黒部峡谷の半分にも足らない、ダムの一つや二つでビクともしませんや、と強いことを言っていた。が、鐘釣温泉から猿飛に溯るまでの巨岩怪石の、それが黒部の魄であった壮美の中心は、もう大半無くなっていますよ、と難癖をつけると、吉澤君、奥に大きな雪崩れか、山ぬけでもすりゃァ、あんな岩位、また流れて来まさァ、で洒々たるものだった。

が、楢平のダムが新たに築かれると、猿飛さえが水中に没してしまう新聞に、黒部保勝会が先ず初耳らしい慌てかた。