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とざんだんぎ
登山談義
木暮 理太郎
「山」1935(昭和10)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,219 字 · 16 页
、先達から同行を許されました。私の村の富士講には妙な風習があって、道中水を飲むことが行の一となっていました。御岳講の方では水を浴びるのですが富士講では水を飲む。如何してそんな風習が生じたかは、古老の歿してしまった今日、遺憾ながら知る由もありません。先ず最初の日が一杯、次の日が二杯と順次に増して、最後に吉田を立ってお山に懸る日には五杯飲むことになります、それも朝食が済んでいざ出発という際に飲むのだから可なりこたえる。尤も朝飯は成る可く早く済まして、支度は成る可く緩りするという手はありました。先達は紐の付いた木製の椀を腰に下げていました。今のアルミの水呑はそれから思い付いた物かも知れません、約八勺は入りますから五杯で四合はある、夫れを一気に飲むので、予め水を飲む稽古をして出たものです。初登山では御岳でもそうであるがお鉢廻りは許されない、夫れを強いて先達に頼んで特別に許して貰えたのは子供だから罪咎がないという訳だったと思います。此時の印象として割によく残っているのは、体に直接影響を受けた石室の雑沓、飯が不味いので強飯を食べたこと、甘酒が旨かったことなどで肝心な山の方は極めてぼんやりしています。