轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しろいあさ
白い朝
豊島 与志雄
――「正夫の童話」――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页
こんどもそうです――
芝田さんはその夕方、銀座を歩いていました。知人の文学者に出逢いました。そして一緒に、酒をのみました。文学のことや社会のことを話しあい、酔がまわってくると、芝田さんは、金貸の常見のことや塗料会社のことを、面白そうに話しました。ばかげた話だね、と文学者は簡単にかたづけました。ばかげた話だね、と芝田さんも簡単にかたづけました。その笑い話のうちに、文学者はふと真面目になって、だが、その娘さんに、そんなことから気を惹かれだしたら困るね、と云いました。そうなんだ、と芝田さんも真顔です。結婚問題だの、奥さんという揶揄だの、そんな下らないことから、彼女を見直すようになったら、危険だからね……。そういう話が続いたのです。そして、彼女の健在のためにと、二人で祝杯をあげました。
「それこそ、ばかげてるじゃないか。」とチビは云います。「文学者って、どうしてああばかげたことばかり、問題にするんだろう。だが、それから先の芝田さんは、一層おかしいんだよ。」
ひどく雨が降って、それがやみかけた頃、芝田さんは文学者と別れました。ふかく考えこんで、裏通りの掘割のふちを、長い間ぶらつきました。