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しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

――「正夫の童話」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页

青空文庫

「おじさんはどうしたんでしょう。わざわざ電話をくれといて……。」

「電話……あなたに……いつ……?」

「今朝だって。中根のおばさんと、ほかの用かも知れないけれど、話をして、その時、お午すぎには帰ってるから、ゆっくり遊びに来るようにって、僕にことづけがあったそうです。」

「そう。どうなすったんでしょうね。」

駒井さんも、なにか、芝田さんの帰りを待ってるようなんです。もう五時すぎになっています。駒井さんはしばらく考えていましたが、ふいに別なことを云いだしました。

「あなたは、何の花がいちばんお好きなの。」

だしぬけの問いなので、正夫はちょっと返事に困りました。

そこへ、来客でした。年とった女のひとで、御主人が不在なら、どなたかお留守の人に……とそう女中の取次です。

「待ってて下さいよ。」と駒井さんは正夫に云いました。「あとで、お話があるから。先生も、じきにお帰りになりますよ。」

そして駒井さんは、女中から受取った名刺を手に持ったまま、出て行きました。

正夫はそこに寝そべりました。駒井さんが出してくれた二三冊の書物も、手にとりません。なんだかつまらないんです。

「なにをしてるんだい。